Article 01 — オウンドメディア 制作

オウンドメディア制作の全体設計|目的・構造・発注・社内体制を一本で整理する

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オウンドメディアを制作しようと動き出したのに、途中で「これは本当に営業につながるのか」と立ち止まってしまった経験はないでしょうか。

記事を量産したが問い合わせが増えない。外部のWeb制作会社に任せたら、見た目は整ったが社内で誰も使いこなせない。予算は使ったのに、何が成果なのかが分からなくなった。

こうした状況が起きやすい理由は、制作の前に決めておくべきことが、まだ決まっていないからです。

この記事では、オウンドメディア制作を始める前に押さえておきたい全体像を、設計・発注・運用・社内体制の順に整理します。

オウンドメディアを「記事メディア」として捉えると起きること

「オウンドメディアを制作したい」という相談を受けると、多くの場合、頭の中には読み物風のWebマガジンのようなイメージがあります。洗練されたデザイン、プロのライターが書いた記事、週に2本の更新、読まれたことを示すPV数。

そのイメージ自体は間違っていません。しかし、それだけを目標にすると、メディアは育っても事業は動かない、という状態になりやすいのです。

理由は単純です。読まれることと、問い合わせにつながることは、別のことだからです。

PVは増えているのに、問い合わせフォームへの遷移がない。記事の最後に「詳しくはこちら」と書いてあるが、どこへ誘導するかが決まっていない。あるいは、メディアの記事と自社の営業資料が、まったく違うことを言っている。

こうした状態では、記事がどれだけ読まれても、事業の前進には結びつきません。問題は、記事の質でも量でもありません。メディアの出口が設計されていないことです。

オウンドメディアをLPの集合体として捉え直す

ここで視点を一度切り替えてみてください。オウンドメディアをキレイな読み物として捉えるのではなく、さまざまな切り口のランディングページ(LP)を集めた営業システムとして捉えると、何が変わるでしょうか。

LPには、必ず「誰に」「何を伝え」「次にどう動いてもらうか」という目的があります。記事も同じです。

「コスト削減に関心がある担当者が検索する言葉」で書いた記事は、その担当者に向けたLPです。「導入事例を調べている情報収集段階の人」に向けた記事は、その段階の人に響くLPです。「競合他社との比較を始めた人」が読む記事は、比較検討段階に合わせたLPです。

それぞれの記事に対して、どんな状態の読者が来て、記事を読んだあとに何をしてほしいのかを設計する。これが、オウンドメディアを営業に機能させるための基本です。

仕入れた食材を並べるだけでは料理にならないように、記事を並べるだけではメディアは機能しません。どの記事が、どの導線で、どのページへ読者を送るか。その設計が、制作の核心です。

目的が決まれば、制作の仕様が決まる

オウンドメディアの制作に入る前に、必ず決めておくべきことは「何のためにつくるか」です。目的には、大きく分けると次の3種類があります。

ブランド認知・権威性の構築

業界内での信頼性を高めたい、名前を知ってもらいたい、という目的です。読者の課題解決につながる知識コンテンツが中心になります。効果の測定指標は、PV数やSNSシェア、指名検索数などになります。

リード獲得(問い合わせ・資料請求)

営業のパイプラインを太くしたい、という目的です。問い合わせやダウンロードにつながる記事と、CVページへの導線設計が不可欠です。効果の測定指標は、問い合わせ数・商談化率・受注件数などになります。

既存顧客のリテンション

導入後のサポートや活用促進のための情報発信です。解約率の低下や追加受注がKPIになります。

それぞれの目的によって、必要な記事の種類、CMSの機能、社内体制がまったく異なります。目的が「認知」なのに「問い合わせを増やしたい」と伝えると、制作会社は途中で困惑します。制作の仕様書を書く前に、まず目的を言語化することが、すべての出発点です。

目的と社内の責任部署を合わせる

Jag Projectが関わったオウンドメディアの事例では、おおまかに3つのパターンがありました。

1つ目は、子ども向けプログラミング教育が学校で始まるタイミングに合わせた教育系メディアです。目的はブランドの認知度の向上、つまりPVでした。2つ目は、マルウェアの専門知識やトレンドを発信するセキュリティ情報メディアです。認知度と権威性の向上が目的でした。3つ目は、法人向けの通信技術メディアで、リード獲得と事業収益が目的でした。3つとも目的を達成しましたが、3つ目が最も事業への貢献という意味で成果が大きかった支援となりました。

主な理由のひとつは、目的と担当部署が合っていたからです。認知度向上が目的のメディアは、本来はPR(パブリックリレーションズ)の予算と責任のもとで動かすべきものです。PR予算ではなく、営業予算や新規事業開発のPDCAとして進めようとすると、評価軸がずれて誰も正しく評価できない状態になります。

3つ目の事例が機能したのは、目的が最初から「リードを取り、商談に持ち込み、受注につなげる」という営業ラインに乗っていたからです。

支援プロジェクトにおける実績レンジであり、成果を保証するものではありません。

参考数値として、その法人向けメディアは支援期間中に、総セッション数31,626、フォーム受信約350件、商談69件、受注確定8件、非広告流入75.1%という推移をたどりました。広告を止めた期間にも問い合わせが26件来ていたことが、オウンドメディアとしての資産性を示しています。

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オウンドメディア制作の全体工程

第1段階:目的・KPI・体制の設計

何を達成するためにつくるのかを決める段階です。目的(認知/リード獲得/リテンション)、KPI、社内の責任部署、予算の出どころを整理します。ここで曖昧さが残ると、あとの工程がすべてズレます。

第2段階:サイト設計とCMS選定

メディアの構造を決める段階です。どんな記事カテゴリを設けるか、記事からどのページへ誘導するか、CMSは何を使うかを決めます。記事の入口(検索ワード)と出口(問い合わせフォーム、サービス紹介ページ)の対応を設計しておかないと、LPとしての機能を持たない読み物だけが量産されます。

第3段階:制作会社・ライターの選定と発注

設計が固まったあとで、外部のリソースを入れる段階です。この順番が大切です。設計が決まっていない状態で制作会社に発注すると、事業の目的に合ったサイトが上がってきません。

第4段階:コンテンツの企画と制作

記事を書く段階です。営業担当者へのヒアリングがここで非常に重要になります。実際に受注につながったお客様はどんな言葉で問い合わせてきたのか、商談の入口になった記事は何だったか。この情報が、次に書くべき記事のネタになります。

第5段階:公開・計測・改善

公開してからがオウンドメディアの本番です。Googleサーチコンソール、GA4などで、どの記事からどのページに遷移しているかを確認します。問い合わせフォームやサービス紹介ページに近い記事の精度を上げることが、事業への貢献につながります。

内製でやるか、外注するか、伴走にするか

認知・権威性が目的の場合は、PR担当者が主体になり、外部ライターや制作会社を補助線として使うモデルが機能しやすいです。PRとしての目線がないまま外注すると、「記事の数だけ増えて、ブランドの文脈が崩れる」ことが起きます。

リード獲得が目的の場合は、営業とマーケが密に連携しながら、記事の方向を常に調整できる体制が必要です。Webマーケティングの専門家が社内にまだいない場合、外部の伴走支援を使いながら社内にノウハウを蓄積していく方法が現実的です。

制作費用の考え方

オウンドメディアの制作費用は、目的・規模・内製比率によって大きく変わります。サイト設計と初期構築だけであれば50万円〜、記事制作を含む本格稼働状態までのセットアップで150万円〜というラインが多く見られます。ただし、CMS選定・デザイン品質・記事本数・SEO設計の深さによって上下します。

注意が必要なのは、「安い制作費用で大きな成果を」という発想で発注先を選ぶと、設計工程が省かれやすい点です。設計のないメディアは、記事は溜まっても、問い合わせが来るメディアにはなりにくくなります。制作費用は、事業の仕組みをつくるための投資として位置づけることが重要です。

データ分析・ダッシュボード・GA4画面・改善のイメージ

制作前に確認しておきたい5つの問い

問い1:このメディアで、誰に、何を達成してもらいたいか
「問い合わせを増やしたい」だけでは不十分です。どんな課題を持つ、どんな役職の人が、どんな状態になったら成功か、まで具体化します。

問い2:目的に対して、誰が責任を持つか
PR目的なら広報・PR部門、リード獲得目的なら営業・マーケ部門が責任を持ちます。責任部署が曖昧なまま進むと、成果を誰も評価できなくなります。

問い3:記事の出口(導線先)は決まっているか
読んだあとに進むべきページが存在しているかを確認します。記事は、出口があって初めてLPとして機能します。

問い4:社内の営業現場の声を記事に反映できる仕組みがあるか
受注につながった会話、よくある質問、競合との違いを聞かれる場面。これらが最も読まれるべき記事のネタです。定期的に営業担当者と話す機会を設けることが、コンテンツの質を上げる最短ルートです。

問い5:6ヶ月後に改善できる体制があるか
更新を継続するためのリソース(人・時間・予算)を、制作段階から確保しておく必要があります。

オウンドメディアの制作は、Webサイトをつくる作業ではありません。事業の目的に合った情報の流通経路をつくる設計作業です。

まずやっておくべきことは、制作会社に連絡する前に、次の2点を社内で固めることです。ひとつは目的とKPIの言語化。もうひとつは、その目的に責任を持つ部署と担当者を決めること。

今の自社の状況を整理したい場合は、30分ほど状況を聞かせていただくだけで、次に見るべきポイントが見えてきます。

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