展示会出展の目的を最初に決める理由。設定ミスが起きやすい3つのパターンとランキング
「展示会に出たいと思っているが、何を目的にすれば正解なのかわからない」という方は少なくないはずです。 あるいは、出展前に目的を決めたつもりが、終わってみるとどこで成果を測ればよいのか曖昧だった、という経験をされた担当者の方もいるかもしれません。
展示会出展の目的設定は、ブース設計や費用決定より先に行う必要があります。 目的が曖昧なまま出展すると、ブースの設計も、スタッフへの指示も、フォロー施策も、すべてがぼやけます。
この記事では、B2B展示会における目的の設定方法と、設定ミスが起きやすいパターンを整理します。
なぜ「目的が曖昧」になるのか——認知負荷という問題
展示会の準備が始まると、ブース設営、パンフレット制作、スタッフのシフト調整と、実務が次々と発生します。 やることが多いと、「なぜ出るか」より「どう準備するか」に意識が向きがちです。
これは行動経済学でいう「認知負荷」の状態です。 判断しなければならないことが増えると、人は「目の前の作業をこなすこと」が優先され、そもそも何のためにやっているかを考えることが後回しになります。
展示会の目的が曖昧になるのは担当者の問題ではありません。 準備の量が多すぎて、大事なことを考える余裕がなくなるという、組織的な構造問題です。
だからこそ、展示会の準備を始める前の段階で、目的だけを先に決めることが重要です。
展示会出展の目的設定から設計まで、整理したい方へ
「目的を決めたいが、何から手をつければよいかわからない」という段階からお手伝いできます。 まずは30分、現在の状況をお聞かせください。
→ 展示会出展の目的設定を相談するB2B展示会出展の目的:よくある5つのパターンとランキング
以下は、B2Bの展示会出展で設定されやすい目的を、成果につながりやすい順に整理したものです。
商談件数の確保
展示会を「商談の場」として設計し、会期中に一定数の商談件数を実現することを目的にします。 名刺交換数だけを成果にするのではなく、「その場で具体的な案件の話ができた件数」を基準にします。
Jag Project設立以前に私(JagYamamoto)が日本法人CEOとしてマーケティング担当したドイツのセキュリティ企業は、展示会出展の目的を「商談数」と「名刺交換数」に絞り込んでいました。 RX Japan主催の展示会においても、この目的設定を軸に、来場者への対応だけでなく出展企業への逆営業を設計に組み込みました。 結果、3日間で500件を超える名刺交換と100件を超える商談を実現しました。
成果につながりやすい目的の第1位は、この「商談件数の確保」です。
意思決定者・新規接点の獲得
Webや電話営業ではリーチしにくい、特定の業種・職種・決裁権限に近い層と直接話せる機会として展示会を使います。
B2B専門展示会には、事業責任者や購買担当者が来場するケースが多く、初対面でも「見に来た目的がある人」と話せる環境が整っています。 Webからの問い合わせが担当者レベルで止まりがちな課題を持つ企業にとって、この目的は特に有効です。
体験型デモによる信頼形成
資料を渡すだけでなく、製品・サービスを実際に体験してもらうことで、信頼形成を加速させます。
Jag Projectが支援した放課後等デイサービス向けのトレーニングソリューション展示会では、会場の照明環境が課題でした。 プロジェクターを使ったデモ効果が伝わりにくいため、会場近くの会議室をブッキングしてデモ予約を受付け、体験希望者を案内する設計をとりました。
既存顧客・パートナーとの関係強化
すでに取引のある顧客や協業パートナーと、展示会を通じて定期的に接触する機会として使います。 新規開拓だけが展示会の目的ではありません。
ブランド・製品の認知向上
「社名を知ってもらう」「新しいサービスを発表する」という目的です。 ただし、認知向上だけを主目的にすると成果の測定が難しくなります。 後述のWeb連動施策と組み合わせることで、初めて測定可能な成果につながります。
展示会出展の目的がまだ決まっていない、または見直したい方へ
目的設定の前に「自社が今もっとも必要としている接点はどこか」を確認することが重要です。 まずは30分、現在の営業・マーケティングの状況をお聞かせください。
→ 展示会出展の目的設定を相談する目的設定ミスが起きやすい3つのパターン
パターン1:「とりあえず出る」——現状維持バイアスの落とし穴
前年も出た、業界全体が出ているから出ないわけにはいかない。 この状態が続くと、展示会出展そのものが目的化します。
これは行動経済学でいう「現状維持バイアス」の典型です。 前年と同じように出展することが安全策に感じられ、目的を見直すことへの抵抗が生まれます。
対策:毎回「この出展で何件の商談を得るか」を先に決めてから準備を始めることです。
パターン2:目的が多すぎる——選択過多の問題
商談も、認知も、採用も、競合調査も、すべて一度に実現しようとする出展は、どれも中途半端になります。
選択肢を多く設定するほど、スタッフの動きが分散し、来場者への伝わり方も薄くなります。 「誰もやったことのない出展をして、楽しみながら結果を出す」という1つのテーマに絞ったJag Projectの支援事例では、スタッフ全員の動きが揃い、明確な成果につながっています。
対策:主目的を1つに絞り、残りは副次的な成果として扱います。
パターン3:目的と測定基準がズレている
「新規接点をつくる」という目的に対して、名刺交換数だけを成果指標にしているケースです。 名刺を300枚交換しても、商談につながったのが1件だけなら、その出展の目的は達成されていません。
対策:目的を設定するとき、「その目的が達成されたかどうかを何で判断するか」を同時に決めます。
目的とWebマーケティングを連動させる
展示会出展の目的を設定したら、それをWeb施策と連動させる設計が必要です。
「展示会で認知を広げる」という目的を持つ企業でも、実際には展示会よりWebのほうが多くの人に届く可能性があります。 展示会ブース来場者の100倍以上のビジターが、Webで自社プロダクトに接触していることを考えると、Web施策を展示会の「前工程」として位置づけることが重要です。
Jag Projectの支援事例では、展示会の半年前からターゲット層へのWebリターゲティング広告を展開することで、来場者の事前認知を高め、ブースでの「どこかで見た」感覚を意図的につくっています。
この順番の変化が、目的ごとの成果を大きく変えます。
展示会出展×Webマーケティングの連動状況を確認したい方へ
展示会×Webマーケティング診断では、出展目的の明確さ、Webとの連動設計、費用対効果の状況を10分程度で確認できます。
→ 展示会×Webマーケティング診断を受ける(無料)RX Japan株式会社. "展示会一覧". RX Japan. https://www.rxjapan.jp/, (参照 2026-05-21).
Kahneman, D. Thinking, Fast and Slow. Farrar, Straus and Giroux, 2011, 499p.